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アニメ「天元突破グレンラガン」最終話 [VISUAL&ARTS…観る。]

生命とは何か。
それに対しての答えは
「自己複製を行うシステムである。」(「生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891) 」福岡伸一)

とりもなおさずDNAという遺伝情報を、気の遠くなる時間をかけて組み換え変異を続け自己複製しながら紡いでいった結果が現在の地球上の生命である。宇宙が生まれ、地球が生まれ、有機体が生まれ。化学反応による増殖が、いつどこで自己複製に変わったのか、くるくるとそれは螺旋を巻きながら果てしなく複製を繰り返す。今の分子生物学には「利己的な遺伝子」と言う考え方があり、遺伝子そのものは「種の保存」なんてもののためにではなく、「自らの生き残り」しか目的とはしていないとのことだが、それは確かに分子レベルの思考回路があるわけでもなし当然のことだろう。巨大な分子の集積物である生命体=生物が思考を持つためには「脳」という司令塔が必要だからだ。
「人間」は他の生物と比べ特大の脳でもって特異な進化を遂げてきた。しかし昨今は言うに及ばず、「人間とは自然界から生まれたゴミであり、ゴミが地上を埋め尽くす前に滅びるべき」と言ったような考えをする「自然派」な論調をする者も多い。「神の目線」に立つことなど誰にもできないはずなのに。

いつの世のことだか、おそらく遠い未来であろう地球。「神の目線」を持った者たちに抗う者が現れる。彼らは自らの存在意義なんて語らず、「自分が自分であるために」生き死んでいく。進化の過程で意思を持ち、社会を営み、他者の存在を認めそれを愛し、そのためには自己犠牲を厭わないが、あくまでもそれは自分のためなのだ。「誰かのため」という自分のための自己犠牲なのだからこそ自分を顧みないパワーを生み出せる。まさに利己的な遺伝子の力、しかしそれこそが意思の力。それが「生命の容れもの」である人間=螺旋族なのである。
「螺旋」には様々な読み解きができるだろう。無限を表すものとして人類は太古より螺旋を描き続けてきた。(装飾研究の第一人者である鶴岡真弓氏の著作等に詳しい。)コンピューターで数学的に描かれる図形。どこまでも描き続けられる同じ文様はフラクタルでこれもまた自己複製。「螺旋力」とはDNA=生命の遺伝情報の持つ「自己複製能力」のことであり、「生命の容れもの」である人間の肉体の限界を超えて伝えられていく意思そのものなのではないだろうか。

さて。前置きが長くなったが、本日最終回を迎えたアニメ「天元突破グレンラガン」。最初から飛ばしっぱなしで突き抜けたアニメだったが、馬鹿な男の生き様な話かと思ってみていたらどうして、終盤に近づくにつれ「螺旋族」=DNAを持つ生物の代表としての人類の存在意義すら考えさせる超オオブロシキ話になっていた。人間という愚かな生き物。それを殲滅せんとするシステム。神の目線などいらない。「種」の行く末は「種」自らが決めていくのだという明確な意思でもって突き進む。その描き方はまさに破天荒であり劇場的でありそしてそれゆえ気持ちよく突き抜けている。物語の進行に「そんなバカな」はない。すでに第1回目のキャラクターの突っ走り加減で、そんなものは吹き飛んでいる。そして描かれるのはイメージされる全ての螺旋の力でありフラクタルのような入れ子構造になったメカ。ミクロからマクロへ、そして最後は「始まり」である「ラガン」へ戻る。それは物語そのものでもあり、主人公である「穴掘りシモン」は自ら「穴掘りシモン」へ戻っていく。死んでいった多くの同志の遺志(意思)を受け継いで戦ったように、「螺旋」のシンボルである「ドリル」を次世代である若者へ手渡して。
神などいらない、未来は自分たちの力で、と支配から逃れた彼ら。生命とは自己複製するシステムである。そして巨大な脳を持つ人間は意思を持ち、その意思を次世代に伝えることを知っている。遺伝情報と同じように。ラスト、20年後の世界でシモンが道具がうまく使えずにいた子供にちょっとしたコツを教えるシーンがある。そうだ、「オトナ」とはそういうことのできる人間のことだったんだ。

天元突破グレンラガン1 (完全生産限定版)

天元突破グレンラガン1 (完全生産限定版)

  • 出版社/メーカー: アニプレックス
  • 発売日: 2007/07/25
  • メディア: DVD

天元突破グレンラガン1 (通常版)天元突破グレンラガン1 (通常版)
2007.9.30現在3巻まで発売済(以下毎月1巻発売)


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